Editor’s Note #23 京都

#23 京都 / Text:ルーカス ビービー(本誌P.8より)
[京都を食べたら甘かった!]
京都の秋はなんともいえず美しい。豪華なオレンジと黄と赤に彩られた木々のタペストリーと、歴史を感じさせる古い寺が隣り合わせになったこの町では、過去と未来という時が刻む鼓動を感じ取ることができる。でも今回は、京都のちょっとした秘密をこっそりと教えてあげよう——京都は夏もまたすばらしいのだ。そんなの信じられないと誰もが思うかもしれないが、それは、観光客が引いてしまうほど京都の夏の暑さは厳しいという噂を、イヤというほど聞かされてきたからにちがいない。 おかげで夏に京都を訪れる人は、そんなナンセンスな噂に耳を貸そうともしない、数少ない「勇気ある」物好きだけということになってしまった。もし暑さこそ避けたい要素なのだとしたら、夏を過ごしたくないと思う場所は京都ではなく東京だろう。風が通らないコンクリートのビル、車の排気ガス、冷たい空気を中に入れ、ムンムンした空気を外に吐き出すエアコン……これらが三つ巴になって首都全体を覆っている。それは僕たち東京人を、電子レンジでチンしたバターのようにドロドロに溶かしてしまう。
一方で、死ぬほど夏が暑いとされる京都は、その中心を美しい川が流れ、芸妓さんの扇子からは涼しい風が漂い、バスでちょっと移動しただけで冷たく新鮮な空気の吸える山々がたくさんある。でもたぶん、どんなに暑かろうとそこへ行く価値があると感じさせてくれる最大の魅力は、この町を自分のものにできる夏の数ヶ月間に観光客がとても少ないということだろう。つまり、おいしい京菓子を独り占めできるのだ。
今号のPAPER SKYでは、京都の町のいたるところで見かける、3世代〜23世代にわたって伝統的な和菓子を作り続けている21の和菓子メーカーを追った。僕たちの目標は、お菓子を通じて京都(日本のいわゆる「国宝」の20%がある町)の歴史と文化の全貌をとらえることだった。たしかに「スニッカーズ」のチョコレートバーでアメリカを要約しようとすれば、胸やけするか、さもなければシュガー・ラッシュ(砂糖中毒)でハイになるだけだろう。ところがありがたいことに、和菓子はもっともっと多くのものを提供してくれるのだ。この数世紀にわたる技術を受け継ぐ職人たちは、和菓子作りは外観、味、手ざわり、におい、音という「五感の芸術」への精神的・美学的没入を意味するということを僕たちに教えてくれる。さあ、口を開けて、京都をちょっとかじってみよう!
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